再建に向けて
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2019/10/31(Thu)
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仕様ハウスの勉強をするために、
埼玉県へ訪問させていただいた時に 伺った話なのだが、5年前の雪害の後に 再建をされた農家の中には、 補助金を利用して立派な鉄骨ハウスを建て、 今になって支払いが滞っている人が 少なくないそうだ。 確かに、自分のハウスが倒壊した 姿を見たら、次は絶対につぶれないものを 建てたいと思う。 当たり前の話だ。 どこまで費用をかければ、 半永久的なハウスが作れるのか。 当園の最初の発想もそこにあった。 しかし、千葉県以外の生産者や 施工者と触れ合うにつれ、 「で、どう生きていくの?」という これまた当たり前の話にぶつかる。 農業は、決して収益性の高い仕事ではなく、 過大な設備投資を簡単に回収することは、 とても難しい。 それはどんな仕事でも同じだと思う。 しかし、そこに補助金という支援があると、 「せっかくだから」とか 「どうせなら」とか、 そういう観点で再建コストは 跳ね上がっていく。 「コンピューター制御で 栽培管理をする時代です。」 そういう売り文句も 耳障り良く聞こえてくる。 「イチゴが望んでいること」 「自分たちの生き様に合うこと」 そういう視点から再建していくことが、 大事なのではないかと思っている。 (知恵熱が出そうだ by 農園主) |
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農を考える (甘い蜜の使い道)
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2019/10/29(Tue)
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「人・農地プラン」
という行政上の施策がある。 不思議な名前であるが、 その目指す方向は、我が国の農政では 重要事項とも言えるもの。 耕作放棄地が、とめどもなく拡大している ことは、もはや周知の事実であり、 離農をする農家の後継問題は深刻である。 そこで、中間管理機構という政策が出て、 県が仲介をして農地の貸借を促進しよう というものであったが、残念ながら、 その効果は、極めて限定的なものに とどまっている。 農業をやめる人と始めたい人を マッチングさせるということのなのだが、 そこに蜜がなければ、双方のニーズは なかなか集まってこない。 ましてや、需給関係は やめる人の方が圧倒的に多いのだから、 耕作放棄地は増える一方である。 では、どうする? 政府は無策ではない。 地域で耕作できない農地を取りまとめて、 一定割合、中間管理機構に提供すれば 地域に助成金を出す。 新しい耕作者(“担い手”という)には、 プランに参加すれば、 営農開始時の助成金を用意する。 そして、当園の再建のようにハウスを 強靭化する場合には助成の対象にする。 そういう蜜を使って、 情報や人の動きを変えるのは、 善悪の問題ではなく、行政の基本である。 そういう意味では、農地への税制を 変えていくことが、最終手段として 政府の視野にあるのだと思うが、 現段階では、地域全体で将来の 農地問題を考えることにとても意義があり、 その契機になっていることは間違いない。 我々は、そこにまずは集まることが 求められている。 忘れてはいけないのは、 “担い手”ファーストからの 発想でなければ、需給関係は、 悪化の一途をたどるだけということ。 (増々厳しくなる自然環境のもとで by 農園主) |
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イングランドから学ぶ
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2019/10/27(Sun)
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あの王者ニュージーランドに完勝。
前回大会で日本代表の躍進を 導いたエディ・ジョーンズ監督の 手腕は本物である。 そもそも地力のある発祥国であるが、 見事な蘇生であり、日本代表の将来像、 目指すべき方向を示してくれた試合だった。 要は、“ディフェンス”である。 日本の今大会のタックルも 素晴らしかったが、違いは、 イングランドはライン際の ぎりぎりまで、ディフェンス網が 完璧に整備されていたこと。 大会前に行われた日本代表と ニュージーランドとのテストマッチでは、 ボールを外に展開されると 日本代表は全く追いつけなかった。 外へのキックパスも悠々と決められていた。 グラウンドのライン際を最後の数センチまで 有効に使う攻撃は、さすがであり、 これはとても対応できないレベルと 思い込んでいたが、 イングランドはそれを守り切った。 しかも2人以上で。 信じられない運動量である。 できないと思った瞬間に 自身の進歩は止まる、というが、 その通りだと考えさせられた。 (“限界”は自分が決めている by 農園主) |
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埼玉県訪問記
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2019/10/25(Fri)
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深谷市を訪れた。
6年前の雪害では、 多くのハウスが倒壊した地域。 その教訓を生かしハウスを再建し、 元気に再興している農業地帯である。 当時は、「資材がない」「職人がいない」 と大手の業者たちに言われて、 ほとほと困ったと ぶどう生産者の方が言っておられた。 今の千葉と全く同じ状況である。 「でもね、本当は資材はあったんだよ。 じっと持っているとみんな困っているから、 値上がりするでしょ。そういうわけ。 だから、ないないって業者は言っている。」 それが本当だとしたら、由々しき事態だ。 ちなみに、このぶどう生産者の方も 全国中のハウス業者を探しまわって、 山形県の施工者に行きついたそうだ。 「この会社は自分でパイプを作るから、 すぐに資材を持ってきて、 工事をしてくれた。 値段も圧倒的に安かったね」と。 それからこの施工者に頼む農家が 周辺で増え、かつての業者は 追いやられたそうである。 当然の結末である。 ちなみに、当園のお客様から 紹介していただいた先が 偶然、同じ山形県の施工者に行きついた。 千葉県でも新しい旋風が起き、 悪徳業者が成敗されるものと期待したい。 (現代版百姓一揆って感じで by 農園主) |
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強いご決意
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2019/10/22(Tue)
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即位の儀での
“国民に寄り添う”お言葉。 台風被害のあった身として 温かみと敬愛を感じる。 祝賀パレードが延期されたのは、 残念だが、そのお気持ちの現れと推察する。 さて、今週末には君津での “秋の花火大会”が、 いつも通りに開催される。 “なぜ?”などという気持ちはない。 色々な事情があるのだろうから。 ただ、当園は花火の打ち上げ地区にあり、 例年、たくさんの見物客の車が押し寄せる。 当園のお客様には駐車場を開放するのだが、 (今年は閉鎖になるのでご了承を) ハウスの倒壊があって危険な場所である。 主催者の警備担当の方にはご理解いただき、 最大限の協力をいただけることになった。 小さなことから、我々の価値観は、 日々多様化していて、 国民、市民に“寄り添う”ことは、 とても大変なことなのだろうと思う。 (平和な時代を by 農園主) |
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大事なこと
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2019/10/21(Mon)
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試合後の堀江選手の談話が印象的だ。
「強くてかなわなかった」 その素直な言葉に全てが凝縮されている。 南アフリカのディフェンスは文字通り “鉄壁”であった。 そして、いつの間にか追いつめられ、 気が付いたら点差が広がっている。 実力、格の違いというものであろう。 しかし、誰にも後悔も不満もない。 4年後が今から楽しみなのだから。 先週、カナダ代表の試合が 台風19号で中止になった後、 釜石で泥の掻き出しを ラガーマンたちは ボランティアで手伝い、 カナダへ帰国した。 「ラグビーよりも大事なものがある」と。 (そういう人になりたい by 農園主) |
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大いなる勘違い
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2019/10/20(Sun)
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今回のハウスの再建に対する公的支援は、
「強い農業・担い手づくり総合支援交付金」 というプログラムの中で発動される。 その内容についての説明会が地域で 開催されている。 緊急事態の中での緊急対応なのであるから、 多少の不備があるのはやむを得ず、 急な開催だったこともあり、 多くの生産者が戸惑っていた心境は 否めないのだが、しかし、 「説明の仕方が悪いから解らない」とか、 「交付金まで待てずに支払わなければ ならない時はどうするのか」とか。 自己都合の批判が多く聞かれ、 倒壊した農園の光景よりも、悲惨に感じた。 国と自治体からの説明文書を理解し、 この支援を今後の営農に どのように生かしていくのか、 それは我々生産者それぞれが 考えていくべきもので、 国に全てをおんぶにだっこで、 お願いする筋合いのものではない。 「強い農業」とは、 「ハウスの仕様を強靭にする」という前に、 まずは自分の足で立つという、 精神的な強さが求められているのだと思う。 (植物たちのように by 農園主) |
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代表応援歌
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2019/10/19(Sat)
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いよいよ明日である。
南ア代表(対イタリア)の戦いを 先日観たが、トップギアを入れた時の 爆発力は、凄まじかった。 黒ヒョウがグラウンド中を駆け巡る感じ。 10番のポラードの正確なキックと 14番のコルビのスピードはハンパない。 対策は、やっぱり“気合”。 (昭和の考え?でもそういうスポーツだ。) 稲垣選手のような決死の覚悟での 低いタックルを全員で繰り返してほしい。 これまで通りに。 厳しい試合になることは間違いないが、 今の桜軍団なら、食らいついてくれるはず。 あのアイルランドに勝ったのだから。 ♪ビクトリーロード この道ずっといけば 最後は笑える日がくるのさ ビクトリーロード♪ (新しい扉をこじ開けろ by 農園主) |
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公的補助を受ける心構え
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2019/10/18(Fri)
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農家同士で、台風対策の話をしていると、
「ダメな時(壊れる時)は みんなダメだから」 という結論がよく聞かれる。 その背景には、 国や自治体が救済してくれる、 そういう期待と甘えがある。 今回、倒壊したハウスは、 自分なりに研究したつもりだったが、 勉強不足を痛感しており、 他県の意見や考え方を聞くにつけ、 甘かったと反省している。 さて、国、県、市からの再建への補助率が 合計で9割になることが公表された。 大変ありがたいことで、 国民の皆さまに感謝している。 (施設の原形回復するための費用の9割を 負担してもらえるということで、 当園が検討している補強などの グレードアップ分については、 自己負担になる。) 周囲では営農から離脱することを 覚悟していた人も多かったので、 大きな決定である。 しかし、 我々生産者が勘違いしてはいけないのは、 こういった公的支援がいつまでも 続くものではないということ。 国庫はそういう財政状況にある。 消費税を上げても赤字を補填できない中で、 税金の使い道の選別は、増々厳しくなる。 農家を救済するのはいいが、自助努力は どうなっているのか、ということである。 保険も、もちろん大事であり、 それ以上に台風対策に どのような努力(具体的な作業)を 積み重ねていくのか、 それを国民に示すことが、 補助をいただく者の要件ではないか と考えている。 強靭なもの(コストのかかるもの)を 建てなさい、という行政の指導には 限界がある、とも言い換えられる。 (兎にも角にも皆さまに感謝 by 農園主) |
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生かされていること
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2019/10/16(Wed)
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台風19号による洪水の被害が深刻である。
多摩川の堤防建設の遅れが指摘されている。 河川行政に詳しい方にお聞きしたら、 堤防を高くするという選択肢はそもそも 間違っているという意見があるそうだ。 本来は、川幅を拡げる、あるいは川底を 深くするべきものだという。 堤防をどんどん高くしたら、 それが決壊した場合には被害は一層拡大し、 その復旧(水の汲み上げ)は 莫大なコストと時間がかかることになる。 それが、これまでの行政の 継続性という観点から 今さら軌道修正が効かなくなって しまっているとも。 我々は、地球と自然と どう向き合っていくのか。 克服できるという考えは、 傲慢ではないのか。 かつてハワイ島の噴火によって 避難をよぎなくされた島民たちは、 自宅がマグマで焼かれる様を見て、 “神にお返しする” と冷静に語っていた。 (大地をお借りしていると by 農園主) |
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記憶と記録
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2019/10/15(Tue)
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台風15号の被害を受けた10日後のこと。
高校のラグビー部の後輩がハウスの片付けの 手伝いに来てくれたことがあった。 TV番組制作会社、レコード会社の映像部門を経て、 映像プロデューサーとして独立し、 自分の会社 を興した男である。 宇宙開発機構や大手メーカーの プロモーションを手掛けている。 朝から軍手を持参して、汗を流してくれた。 ちょうど人手がほしいタイミングに。 ― そう言えば、プロに頼むのも失礼だけど、 この壊れた風景を映像に残しておいてくれる? 思い付きながら、本当に失礼な話である。 「いいッスよ。今日はカメラを持ってきてないけど、 スマホで撮っておきますよ。」 そして、農園内をあちらこちらと歩いて、 その場で編集してくれたものが、こちら。 ちょっと刺激的な映像もあるので、 すぐに皆さまに公開するのを躊躇していたが、 もう、いい頃合いかと。 (YouTubeでご覧になりたい方は、こちらで。) 「再建したときは、 クローン飛ばして撮りましょうか。」 そう言って握手して別れた。 (その日を夢見て by 農園主) |
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ラガーマンたちの仕事の成果
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2019/10/14(Mon)
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ラグビーって面白い。
そういう“インパクト”をもらった。 日本代表がスコットランド代表に勝利。 ちょっと、マニアックに勝因分析をすると、 戦略として、キックを使わなかったこと。 陣地を取るという名目のキックは、 攻撃権を放棄することになる。 つなぎのプレイを徹底的に継続したことで、 観る我々をも魅了してくれた。 両ウィング(福岡選手、松島選手)の走りと ハンドリング以上に、2人のディフェンス。 ラフプレーにも切れない リーチ選手のキャプテンシー。 ラスト2分の田村選手の タイムマネージメント。 そして、 流れるようなゲームを作ったレフェリー。 すでに食事の度に録画を観返している。 さて、これから何度観ることになるだろうか。 (”本気”の勇気をありがとう by 農園主) |
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頑張ろう、みんな
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2019/10/13(Sun)
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19号により各地で大変な被害である。
心中お察しする。 君津では停電があったが、 昼までには復旧。 屋根に張ったブルーシートが 風で剥がされている家は多く、 その張り直し作業はまた大変だ。 当園は、前回ほどの強風でなかったので、 唯一生き残っていた倉庫ハウスは無事。 アランとポールは自宅避難をしたので、 大丈夫、ご安心を。 もうあんな思いはしたくない。 さて、ラグビー日本代表と 宿敵スコットランドとの対戦が 行われることになった。 賛否あろうが、救助隊の仕事が 彼らにしかできないように、 人それぞれに役割というものがあって、 持ち場に応じて支え合っていくことが 社会機能というものかと思う。 我々が農園を再建しようと もがいているのも、 その輪の小さな部分である。 桜の軍団が決死の覚悟で躍動する姿は、 感動を国民に与えてくれる。 どんなに不格好でもいいから、 今回は“勝て”。 4年前からの目標を達成する姿が見たい。 (夢をいっしょに by 農園主) |
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農を考える (強風を聞きながら)
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2019/10/12(Sat)
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農業界に見識のある方から
メールをいただいたので、 その一部をご紹介。 「今又19号台風が来ています。 尋ねたところ、埼玉は(ハウスの) 屋根を剥ぐ方はいません。 茨木の鉾田は70%ぐらいの方が 掛けたまま。 栃木県の二宮は70%以上の 面積で外したようです。 昨年の関空対岸のカゴメの トマトハウス7町歩は倒壊し 廃棄です(再建しても採算取れず)。 天災でやられても、やられても 立ち向かうのが農の生きざまです。 東北の津波、関東の大雪、 熊本の地震、千葉の15号台風、 泣くのは農家、笑うのはハウス業者、 此れが現実です。」 当園は、15号の経験があるので、 今回、もしハウスがあったならば、 苗が植わっていても ビニールは全て巻き上げるか、 切るか、剥ぐか、をすると思う。 そういう意味では、 ハウスのあるべき姿は、 密閉して耐える場合と 巻き上げて逃げる場合と 両方に対応できる仕様が 求められるのではないかと。 それができれば、 農家とハウス業者と関係者みんなが ハッピーな農業になるはずだと感じている。 そのためには、今を生きる我々が ”本気で考える”ことが未来のために 大事な作業だと、四国の方々から教わった。 (皆さまの無事を祈りながら by 農園主) |
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現状を視る
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2019/10/08(Tue)
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津田さん(安房竹材)の案内で
南房総市のハウスを視察してきた。 忙しいところ、時間を割いてもらった。 君津以南の地域は被害が大きいと 聞いていたが、想像以上に大変厳しい。 視察の目的は、当園同様に 倒壊してしまったハウスと 無事だったハウスを見聞することで、 今後の再建に役立てたいと考えてのもの。 ヒアリングに応じてくださった 農家さんには、とても感謝している。 「全部壊れてたら、 もうヤメたんだけどね。」 そういう重い言葉もあった。 結論は出せないが、 少なくとも口径22~25㎜の普通の パイプハウスはほぼ倒壊している。 当園のように42.7㎜の補強を 入れているものもほぼ倒壊。 42.7㎜以上のパイプだけで建てたものでも パイプのピッチ(間隔)が90㎝のものは 傾いている。 一方で、60㎝ピッチのものは無事であった。 (一般の方向けに言い直すと、 一定以上の太いパイプを使って 間隔を狭くすれば、今回の台風を 耐え抜いたということ。) さらに、補強も接続方法次第では 効果が薄いこともわかった。 ちなみに、 山形県の施工者(お客様のご紹介)と 相談をしていたら、 「えっ? 90㎝ピッチですか? 60㎝以上はありえない。 建てたことないです。」 と。 千葉県には特殊なところがあるようだ。 (シアワセだったからだと思う by 農園主) |
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静岡県訪問記
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2019/10/03(Thu)
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静岡県へ出かけた。
就農前にお世話になった方々を訪ね歩き、 台風の上陸の多い地域ならではの アドバイスをいただければと。 さすがにイチゴの一大産地であり、 定植を終えても一段の活気があった。 ただ、台風はというと、 実はこの10年ほどは大きな被害がなく、 そういう意味では、 千葉県と同様に幸せなぬるま湯に 浸ってしまっている感があった。 たしかに数十年来の経歴を お持ちの方の中には、 今回もハウスのビニールを外したりと、 慎重な構えの方もおられたが、 それもほんの一部であった。 他人のことは言えないが、 目の前に危機がなければ、 だんだんと記憶は薄れ、 楽な方に流れていくのは、 自然なことなのかも知れない。 (答えはどこにあるのだろうか by 農園主) |
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