心機一転
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2012/03/31(Sat)
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3月末日。多くの企業人にとっては、年度末になる。
その年の成績が悪いとつらい。 ボーナスはダウンか?配置転換か?と気をもんでいるところに 上司からはお説教だ。 しかし、不思議と成績が良くても、いいことはなかった。 翌日の4月1日からは、これまでの好成績はゼロクリアされてしまう上に、 ボーナスも期待ほどには、増えない。 おまけに、上司が呑みに行こうと張切る。付き合おうものなら、 飲み屋で連発されるオヤジギャグに愛想笑い。バツゲームに他ならない。 不思議な日である。 ( ともかく、春は来た by 元サラリーマン ) |
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著作権
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2012/03/30(Fri)
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ポレポレ農園のロゴマークを考案中。
書道家の菊池邑僊先生に創作していただいた書体をベースに 仕上げていく。 「いい絵柄だから、権利は明確にしておいた方がいい」と 図案を見たコンサルタント(3/12登場)からご指摘を受けた。 早速、調べてみると、 よく見かける © (マルシー)が、著作権、コピーライトのこと。 著作権法で保護される著作物は、 「思想、感情を創作的に表現したもので、 文芸、学術、音楽の範囲に属するもの」 菊池先生の書体は、「書画」として保護されることになる。 法手続きは、何も、要らない。 著作者は、書いた瞬間から自動的に著作権を取得するので、 特許のような申請、登録は不要、という。 創作者主義と呼ぶ。 © (マルシー)を入れる理由は、 これを表記することで、著作権手続きが登録制である外国に対しても、 権利を主張できることになるため。 万国著作権条約で認められた表記だそうだ。 表示は、 © polepolefarm 2012 となる。 ( 海外進出、壮大な話になって来た by 農園主 ) |
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クラーク先生
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2012/03/29(Thu)
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いつもきれいに花が植えられている市役所の広場は、
地元の農業高校が協力している、と聞いていた。 昨日、偶然手入れをしている現場に出合ったので、声をかけた。 花壇にパンジーとビオラ、ストックを植えている先生と生徒2人。 先生が言うには、 農業高校といえども、卒業後に就農する生徒は、2年に1人しか出ないそうだ。 高校では、栽培技術を教えることより、農業を通じた人間教育をすること に主眼が置かれているという。 当番で手伝っているという生徒2人に 「農業やらないの?」と聞くと 「わかりません。でも、就職も厳しいですし。」 先生は、ポレポレ農園に興味を持ってくれたようで、 是非、見学に行かせてくださいと言う。 もちろん、歓迎するが、 本当に見に来てほしいのは、生徒2人の方。 ボーイズ・ビー・アンビシャス ! ( オジサンだって、頑張ってるぞっ by 農園主 ) |
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勇・気
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2012/03/28(Wed)
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昨日登場してくれた少女からのメール。
原文そのまま。 へへへ ![]() ![]() 桃ちゃんがヒントをくれた だってー! すっごくう・れ・し・い! ![]() じゃ、ばいばい ![]() ![]() ![]() ![]() 勇気をもらった。 ( 頑張って、書き続けよう by 農園主 ) |
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遊び場
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2012/03/27(Tue)
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ポレポレ農園では、子供の遊び場も工夫してあげたい。
大人もいっしょに遊べるとなおいい。 ラジコンとか?これは自分の希望でもある。 近所のラジコン屋でしばらく相談。 カーラジコンの面白みはハンドル操作にある。 感度のいいハンドル付きは10万円から。壊れると買い換えが厳しそうだ。 グレードを下げる。2万円くらいでも左右には曲がる。候補だ。 「凧揚げ、おもしろいよ」 昔の上司からのアドバイス、やはり自分目線。 でも確かに、広い田舎ならではの遊びである。取り入れよう。 竹馬もついでにどうか。 砂場。畑を整地している最中に砂だんごをつくって遊ぶ兄弟がいた。 何個も何個も。持って帰りそうだったが、親がいやがっていた。 地味だが、子供が楽しければいい。 採用。というより畑は全部砂場だ。 小4の女の子が、ヒントをくれた。 整地を終えた畑で、お姉さんと追いかけっこ。 広い畑、用水路を挟む坂を笑いながら、追いかけ逃げる。 行ったり来たり、下ったり上ったり。 遊びはこれが一番。 そして、少女は坂で見つけた野草の花を母親にプレゼント。 坂には花を植えよう。 ( ラジコンはほしい by 農園主 ) |
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意思表示
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2012/03/26(Mon)
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ビールのつまみに、かまぼこ とわさび醤油は
手軽で旨い。 しかし、これが嫌いな人もいる。 知人がその一人で、匂いが苦手な上に、 魚をすりおろして、練りこむ製造過程も気に入らないらしい。 その知人家族4人が昨日来訪。 4月で小4、小6の娘2人はしばらく会わない間に、 すっかり大人になった。 長女は、中学受験をするため、1年間勉強を頑張るという。 本人の行きたい学校が、ハッキリしており、 自ら受験したいと言っている。 しっかりした長女で、見ていて頼もしい。 実は、この長女は父親譲りで練り物が嫌い。 彼女が4歳くらいの時、 私がつまみにしていたかまぼこを皿の上に置いた。 かまぼことは、初顔合わせだった彼女。 ぎこちなくフォークで刺すと、ポイッ、と テーブルの下に落とした。 意思表示は昔から、ハッキリしていた。 来春には、合格して 皆でお祝いイチゴを食べることになっている。 ( 今晩のつまみは。。。。 by 農園主 ) |
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風致
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2012/03/24(Sat)
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ポレポレ農園にも看板が要る。
早速、下調べに、君津市役所へ向かった。 ここは、親切なところなのでいつも頼りにしている。 昨日は、建築指導課におじゃました。 看板は、正式には屋外広告物と呼ぶらしい。 建築基準法と条例によって、サイズから色まできちんと規制されている。 サイズ規制は、看板の大きさだけでなく、隣の看板との距離も 最低5メートルは離すことになっている。 高速のインター出口に、竹の子のように乱立する看板群をよく目にするが、 本当は、いけないのだそうだ。 色も地色に黒色や原色を使用してはいけない。 「マクドナルドは赤の地色に黄色のMだけど?」 商標登録されていればOKなのだ。 そういう目で見ると看板も結構、おもしろい。 看板を立てる前に、色とか絵とか字とかを図面に書いて申請し、 県の許可を取ってから立てることになる。 規制の目的は、「風致を維持するため」 フウチ? 広辞苑には、「自然界のおもむき。あじわい。」とある。 福沢諭吉は、「学問ノススメ」で 「詩歌の法に従って、その体裁を備えれば、限りなき風致が生じ」と書いている。 ポレポレ農園の看板に風致を表してみようではないか。 (周りは田んぼだけ、隣の心配は要らない by 農園主 ) |
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奥播磨(芳醇超辛)
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2012/03/23(Fri)
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君津に来てから、大変、お世話になっている方が定年を迎える。
「不良サラリーマン」と自分で認める人だ。 夜遊びをして徹夜明けの出勤は、若いころだけではないらしい。 武勇伝の紹介は、、、まだ定年前なのでやめておく。 「仕事は正攻法でやったことないな。その代わりね、裏道や抜け道は詳しいよ。」 直球勝負で農園準備を進める私に、変化球の投げ方を教えてくれた。 この人の助けがあってこその、ポレポレ農園。 「定年後は時間あるから、ポレポレ農園で雇ってくれない? 夜中の店番するよ。一升瓶だけ置いておいて」 真面目な顔で言っている。 これまでの感謝を込め、何か贈らせていただきたい、と思い 一応、周辺の人にヒアリングした。 予想通り、酒も甘いものも、何でも好きらしい。 知人から教わった美味しい日本酒がある。 兵庫県から取り寄せて贈ろう。 ( 恩送りはこれから by 農園主 ) |
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紅白
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2012/03/22(Thu)
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カラーという花がある。
純白のラッパ状の花で、70センチくらいと背が高い。 結婚式やホテルのロビーで重宝されている気品のある花である。 花瓶での持ちがよく、相当長く楽しめる。 君津では良質な水を生かし、全国で有数の産地となっている。 ウェディングマーチ という品種。 カラー作りをしている友人に、雑用を手伝いながら話を聞いた。 出荷の最盛期に入っているこの時期、 夜12時前には寝れないくらい忙しいと言う。 茎の長さによって5種類に分けた上で、5本ずつ結束して市場出荷する。 長い方が値が高く、1メートル超は最高級。 花の状態の規格も厳しい。 花が開きすぎているようではNG、 花びらの形が少しでもくずれているとNG、 花びらにしわが多いとNG。 素人目にはどれも見分けがつかない、 はねだしが無造作に選別されているのには驚いた。 カラーの出荷時期は12月から5月まで、 イチゴとぴったりシーズンが重なる。 ポレポレ農園で、イチゴと はねだしカラーのコラボはできないものか。 コントラストがいいと思う。 (カステラのはねだしも皆が喜ぶ by 農園主 ) |
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恩送り
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2012/03/21(Wed)
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「井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室」に出てくる話。
彼が中学生のときに国語辞典を万引きして、 店のおばあさんにこっぴどく叱られる。 薪割りをさせられたが、 「働けばこうして買えるのよ」と国語辞典と小遣いまでくれた。 「まっとうに生きることの意味を教えてくれた」 「返しても、返しきれない恩義」があると振り返っている。 そして、井上ひさしは大成後、その地元で何度もボランティアの文章講座を開く。 「恩送り」のためだそうだ。 「誰かから受けた恩を直接返すのではなく、別の人に送る。 その人がまた別の人に渡す。恩がぐるぐると世の中を回る。」 作文の勉強をしようと思って、本を手にしたら、 いい言葉に出会いました。 ( 国語辞典を万引きしたことはない by 農園主 ) |
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組合せ
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2012/03/20(Tue)
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来シーズンのイチゴの準備の話。
今、収穫している株で来年の収穫も可能なのですが、 今シーズンに体力限界まで皆、頑張りますので、 どうしても老化する。 味、収量ともに今シーズンのようにはいかないのです。 そこで、 新規に親苗から子苗を増殖させ、半年かけて株に成長させていきます。 親苗は3つのルートから集めます。 メリクロン苗 茎の成長点の細胞から培養した苗。バイオ技術です。 病気になる菌の保有率はゼロ。ただし、変異の可能性はある。 セカンド苗 メリクロン苗を親にもち、変異のないことを確認した苗。 菌の保有率も低いが、たいそう高コスト。 自家苗 メリクロンやセカンド苗のうち、優良な株になったものから子苗を選抜したもの。 挿し苗により自家製で生育させる。菌の保有率は検査するものの、高まる。 この3種の苗を組み合わせていきます。 保菌の可能性、変異の可能性、コストの問題、増殖能力を 最もバランスよく組み合わせていく。 効率的な「ポートフォリオ(分散投資の組合せ)の構築」は、 イチゴ農家では当たり前のこと。 ( 農家だってリスク分散 by 農園主 ) |
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調和
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2012/03/19(Mon)
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愛犬は家族と同じ、とよく聞く。
犬は嫌いではない方だ。 実家では犬を飼っていた。雑種で決して賢くはなかったが、 そこは身内、かわいかった。 夏場には散歩に走らせると、途中の公園でフェンスに寄りかかり、 今日は暑いからもういい、という顔で見上げる犬だった。 一般的に、レストランで食べ物と犬がいっしょになる場合には、 抵抗のある人も少なくないと思う。 ワンちゃんがイチゴ狩りに横浜から10匹やって来た。 飼い主のご主人達が連れられてきたという感じで、 主役は明らかに小型犬の犬たち、まさにペット同伴レストランで 知り合った方々の集まりだった。 当人達は、犬を外で待たせるつもりだったが、そこは犬好きの師匠。 他のお客さんに気を使い、このワンちゃん団体のために別ハウスを開放した。 犬もイチゴが好きだと言うこの飼い主達は、たいそう喜んで帰っていった。 嫁の友人に、アイ・メイト(盲導犬のこと)と暮らす女性がいる。 毎日の入浴の後、2時間のブラッシングをしていると言う。 人よりもずっと清潔なのだ。 アイ・メイトのことを体の一部だと思っているのでごく自然なこと。 レストランは条例により原則、盲導犬の入店拒否をしてはならないのだが、 それ以上に飼い主の方は気を使って、毛一本落ちないように手入れをしている。 ポレポレ農園は、人も動物も歓迎したい。 調和はどこかにあると思う。 ( かつての飼い犬にイチゴを食べさせたことはない by 農園主 ) |
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アルバイトの吉田さん
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2012/03/18(Sun)
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最近よく買い物に行く近所のスーパーがある。
南房総に、チェーン店がいくつかある店なので 決して小規模ではないが、 レジの方とお客さんがいつも親しく会話している風景から、 地元に根ざした店である。 夕刻の込み合う前に出かけたので、レジは空いていたが、 その後の袋に詰めるスペースがいっぱいだった。 カゴを手にキョロキョロしていると、後ろから 「お客様、こちらで詰めましょうか?」 振り向くと、つい先ほどレジの精算をしてくれた女性店員の方であった。 絶妙なタイミングが、心地良かったので、 名札を見ると「アルバイト 吉田(さん)」とあった。 20歳前くらいの若い人。 彼女のさり気ない対応がとても自然で、 CS(顧客満足度)を高めるためには、 先回りする配慮が大事だな、と感心しました。 「ありがとっ!」 つい、場ちがいな大きな声になってしまった。 彼女は少し戸惑った表情ながらも、軽く会釈を返してくれた。 (是非、ポレポレ農園にスカウトしたい by 農園主 ) |
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トヨタ方式
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2012/03/17(Sat)
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トヨタの仕事のやり方は、
今すべき仕事を実行すると同時に、 将来やりたいこと、やるべきことを考え、 その準備をしていく、のだそうです。 同時並行で仕事を進めるって、 なかなかできない、タフなことですよね。 昨日、イチゴの親苗を植え替えました。 ポットと呼ばれる直径7センチの小さな鉢から 土量の多いプランターへの植え替え。 親苗から子苗をズンズン増やし、元気な株にまで生育させる 「育苗」が始まりました。 これは、まさに来シーズンの準備なのです。 育苗と収穫の作業が重なることを、 他の作目を作る農家さんたちは「大変だよー」と言っていましたが、 実際は、ワクワクするものでした。 異なる時間軸の仕事を同時に進めていくことは 大変な充実感でした。 (今なら、トヨタで働けるような気がする by 農園主) |
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少年の夢
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2012/03/16(Fri)
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今朝のこと。
遠足で、東京の国立大学付属小学校から1年生が100人 師匠の農園にイチゴを食べに来ました。 こんな小さい子たちなのに、なんと大人しく、行儀がいいことか。 違う子が1人いた。 「夢がかなったー! イチゴだけでおなかいっぱいにする夢が、かなったー。 うれしーい!」 絶叫している。 こういう子が意外に伸びたりする。 (次の夢は何だろう by 農園主 ) |
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工程表
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2012/03/15(Thu)
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20年間のサラリーマン生活で身につけた?ことのひとつに、
スケジュール管理があります。 何を、いつまでにやるか、ということ。 期限を逆算して仕事はするものだ、とよく怒られました。 ゴルフの名プレーヤー、J.ニクラウスは自伝で ティー・グランドに立つと、映像フィルムが逆回転するように、 ずっと先の目標のカップからボールが出てきて、ポーン、ポーンと 攻めるべきポイントからポイントへと球が戻ってくる。 そして最後にスタート・ティーの上におさまる、と書いています。 昨日、市役所で会議がありました。 県庁のヒアリングを首尾よく対応してくれた若き精鋭たちと その報告と今後の準備について、打合せをしました。 農業事務所、農協の担当の方も顔をそろえ、 精鋭の一人が取り仕切ってくれた。 冒頭で、彼は 「今後のスケジュールについて、認識を共有しておきたいと思いますので。」 と言って全員に配ったものは、卓上カレンダーのコピー数枚。4月~12月分。 最初はうん?と戸惑った雰囲気でしたが、 皆で話を進めていきながら、カレンダーに書き込んでいく。 カレンダーのマス目がビンゴのようで、結構盛り上がる。 話もスムーズに進んだ。こういうやり方もありですね。 (自分のボールは行ったり来たり、なかなかティーには戻ってこない by 農園主 ) |
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変わり者
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2012/03/14(Wed)
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イチゴの生育のためには、最低気温5℃以上で管理することが必要
と前にも書いたかも知れません。 冬場にハウス内の暖房機は必需品なのです。 農業用の暖房機は、国内に歴史のあるメーカーが寡占的に供給している。 信用と実績があるからだろう。 ところが、先日、農業資材の展示会に参加したら、 オランダ製の暖房機に出会った。 優れものである。 オランダを中心に北欧での実績は十分。暖房効率が高い。 燃料は灯油、国産の重油を燃料とするものよりランニングコストが安い。 本体価格も国産の3分の2くらいと安い。 見た目もジェットエンジンみたいで、ちょっと格好いい。 無骨な国産は場所も3倍くらい取る。 心配は、購入後のメンテナンス。 販売開始後8年経ち、信用が付き始めたようであるが、そこは国産が優位。 だからこそ、寡占メーカーは農家の圧倒的支持を集めているのだろう。 システム運用の世界では、心臓部であるサーバーのトラブルに備えて ホットスタンバイ と コールドスタンバイというものがあると聞きました。 前者は、予備のサーバーを常時待機させておく方法、 後者は、緊急時に設定できるサーバーをとりあえず準備しておく方法。 ポレポレ農園では、2つの暖房機を設置しようと思っています。 オランダ製暖房機は、幸いにも50キロの重量なので、 いざとなれば、移動できる。ヨイショ、ヨイショと。 一応、コールドスタンバイと呼ぶことにする。 導入を検討中。 (周りの農家には変わり者だね、と言われる by 農園主 ) |
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ご機嫌伺い
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2012/03/13(Tue)
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なぞなぞです。
体長0.5ミリの虫。 移動は原則歩き。飛んだり跳ねたりはしない。 上に登る習性がある。 高いところからは、自ら糸を出して風に乗ることもある。 メスは交尾すればメスを産み、しなければオスを生む。 だから繁殖は加速度的。 あらゆる野菜と果実の新鮮な葉だけを食べる。 木や株が枯れてしまうまで次々と葉を食べる。 なので、農家にたいそう嫌われている。 さあて? 答えは、「葉ダニ」。 師匠が、ハウス内に出始めたというので、 2時間、葉を探し回ったが見つけるのは至難だった。 師匠は、「葉の状態を見ればいい」と言う。 初期は、葉に針で刺したような跡(食害痕)がいくつか出る。 そして、葉が黄化する。 次には、葉にクモの巣状の白い膜ができる。 やがて、株がすくむ。(株の背がすくんだように低くなる) それでも、我々に見分けが難しい理由は、 春からは葉が厚くなるため、食害痕が、つきにくくなること、 そして、葉の黄化は、重要肥料のひとつであるチッソ不足と 間違えることがあるため。 生産者が頭を悩ます所以(ゆえん)です。 だから、師匠はいつも 「イチゴさんたちのご機嫌伺い」 に出かける。 最近では、対抗策に天敵を利用する生産者も増えてきた。 葉ダニを食べる異種のダニ(チリカブリダニ)を放して、 退治してもらう捕獲作戦だ。 それでも、相手の加速度的な繁殖前に投入しなければ、 作戦は成功しないから難しい。 最後の切り札は、やはり「ご機嫌伺い」になりそうだ。 葉と株の地道な観察に集約されるのである。 (師匠はイチゴと話せるらしい by 農園主 ) |
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大人買い
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2012/03/12(Mon)
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週末に
昔の会社で一緒だった先輩が、ポレポレ農園の準備を見にやって来た。 天候が良くなかったので、自慢の大型オートバイBMWではなく 車での登場となった。 彼とはバイクのツーリング仲間でもあり、農園運営のよき相談相手でもある。 数年前に、外資系の投資顧問会社に転職した彼は、 数兆円の資産運用を指揮する。 私がかつて証券会社にいた時、彼の指示を受けた担当者から注文が入った。 商品一覧のリストを見ながら 「ここから、ここまで買いたい」 要は、全部だ。 莫大な金額の商品を瞬時に買いさらった。 業界では、「伝説の大人買い」と言われる。 翌日から、マーケットの地合い(雰囲気)が一変し、それまでの沈滞ムードが 一気に上昇相場に転じた。 彼の動向を気にする大手の運用担当者は多い。 知る人ぞ知る男なのである。 その彼が、わが家へ上がるなり、最初の話。 「この前、バイクに乗ってたら、環八でサインを求められてさ。 BMWのファン?と思いきや、 白いバイクで、青い服の人だったわけよ。 うーん。ここ50キロっておかしくないですかとか、 色々言ったけど、サインしたよ。 だから、今日はゆっくり来た。」 どこでも有名人らしい。 ちなみに、彼の持参したお土産は、 ベルギービール6本、吟醸酒3本、上等ワイン2本、高級スコッチ1本 やっぱり、「大人買い」なのであった。 ありがたいはずの彼のコンサルタント話は、酔ってあまり記憶がない。 きっと、彼も同じはず。 (また、呑みながら話を聞きたい by 農園主 ) |
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ご馳走様
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2012/03/11(Sun)
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中国人留学生が、師匠の農園にいちご狩りにやって来た。
東京から大型バス3台に分乗した、若い男女120人の団体。 中国人観光客については、あまりいい評判を聞かない。 兎に角、マナーが悪く、 「食べ散らかす、イチゴの株を折る、いっくらでも食べる」と言われる。 食べるのは、美味しいからでしょうから、喜ばしいことです。 が、株は大事に扱ってほしい。 果房が折れると、実がつかなくなり、 他のお客さんに食べていただくイチゴがなくなるから。 戦々恐々として迎えたところ、 拍子抜けするくらい礼儀正しい若者ばかり。 食べ散らかしは、多少あるものの、これは日本人でも同じ。 帰りには「ゴチソウサマ」と言っていく人が結構いた。 中国語にはそういう慣用句はないのでは、と思い、 引率の先生に聞いたら、 日本語の通訳を目指す生徒さん達ということだった。 なるほど。 「ご馳走様」の心も理解しているような振る舞いでした。 (中国語はチンタオビールしか知らない。。。 by 農園主 ) |
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カステラ
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2012/03/10(Sat)
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母親から文明堂のカステラが送られてきた。
時々思い出したように何かを送ってよこす。 カステラが、特別好物なわけではない。 子供のころは牛乳といっしょに食べるのが、好きだったが、 随分と昔の話だ。 しかも、今回は切り落とし。切れ端がラップで包まれたお買い得品。 食べきれない位、たんまり入っている。普通のものと抹茶味。 食べ切れなければ師匠に差し入れてください、とメモにある。 確かに味はいい。 お礼を兼ねてメールした。 「師匠にもこれあげるの?」「でもどうして切れ端?」 母親の回答メールは 「工場で切るからよ。」 「 。。。 」 想定外の返しだった。 明日、師匠にもっていくとするか。 (感謝 by 農園主 ) |
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本気(マジ)
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2012/03/09(Fri)
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農協(現JA)が、運営する農産物の直売所
「味楽囲(みらい)」貞元店が 昨日オープンした。 君津市2号店になるこの店は、君津の市街地に近い場所にある。 ポレポレ農園とは目と鼻の先。君津駅からは2キロと近い。 地域の活性化のために、味楽囲の誘致活動を10年前から 続けてきた2人に、オープン前日、偶然、会った。 2人とも日頃からポレポレ農園の応援をしてくれている地元の農業者だ。 (HPの道のりで、紹介した強面の天使たち) ひとりは、カブ作りの名人。 彼の「黄金のカブ」は普段、手に入りにくいが、この味楽囲のために 当分は、徹夜覚悟で出荷準備をするという。 米作り名人は、お客さんのスムーズな買い物のために駐車場のことを ひどく心配していた。 当日。予感は的中。 朝から70台の駐車場は満車、案内係が大汗かいていた。 店内は、人でごった返しの大盛況。 それでも、品物は、補充をフル回転してたっぷりと陳列されている。 買い物客は、皆満足そうに、いくつもの買い物袋を持っている。 店の入り口で、お客さんを迎えている2人に 「大成功ですね」と声をかけた。 2人とも快心の笑顔だった。 (オジサンの本気って、結構、格好いい by 農園主 ) |
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神の手、人の手
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2012/03/08(Thu)
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「下葉かき」が始まった。
下葉かきとは、 摘葉(てきよう)すること、葉を摘み取ることを言います。 イチゴは茎が短い。 クラウン(短縮茎)と呼ばれる地面すれすれにある茎から葉が伸びる。 5枚でクラウンを一周するように生え、 ちょうど、星を一筆書きするのと同じ順番と位置で5枚が展開していく。 そして、2巡目以降が同じく続く。 若い葉は、地面に垂直に伸びてから横に倒れていく。 だから新しい葉が常に太陽に近く、2巡目から古い葉は新葉の陰に入る。 新葉は1週間で1枚のペースで展開していくので、 1周に35日かかる計算。 そして、葉の光合成の生産能力は、 葉齢40~50日で最大になる。1巡し終わる頃だ。 それ以降の能力は、低下していく。 神の手により、 葉っぱたちは、太陽に近いうちに精一杯、光合成し、 次世代に引継ぐ。 無駄のない、「いい仕事してます。」 一方の人間の手ですが 老化した葉は生産性が低いだけでなく、 葉が密集した状態は、通気性が良くないことから、 葉かきの出番となるのです。 病害虫の予防と、より効率的な株のエネルギーの分配のために、 大事な作業なのです。 当面、6時間の立ち仕事が続きます。 神の手との協働作業。 (できれば猫の手も借りたい by 農園主 ) |
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箱入り娘
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2012/03/07(Wed)
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キャベツ作りの名人である愛媛の農業生産法人が
昨年、君津にやってきた。 その直後の震災。 関東地域の風評リスクを恐れた本部からは撤退との指示が出る。 しかし、君津の責任者は、キャベツから一転、新たな挑戦を進言する。 首都圏のトマトの需要が予想以上に強い、供給も不足している。 経験値ゼロのトマトへの進出を説得し、本部のGOサインを獲ったという。 それから1年、面積20aで生産されるトマトは全て予約販売されている。 まだ、赤くなっていないトマトたちが、スーパーからの引き合いで完売している。 新品種。糖度は13度以上。 甘いだけではない、塩味も感じる、なんとも見事なバランス。 「奇策なんてないですよ。」 という彼は、生産管理から営業まで当然のようにこなす。 粘り強く各地のスーパーへ、飛び込み営業をしてきたことが結実している。 彼を訪ねたのは、ハウス内の加温方法について知りたかったから。 オランダ製の暖房機を導入している、と人伝に聞いて訪問させてもらったら、 美味しいトマトに遭遇したのでした。 このトマトは、最低気温10℃で管理(イチゴは5℃)している。 「箱入り娘」は、商品名の通り、ハウス内で手塩にかけて育てられていました。 (見かけたら「買いっ!」です。 by 農園主 ) |
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自然体
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2012/03/06(Tue)
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昔からの仲間から、送られてきた近況メール。
本人は公開されるのをいやがるでしょうが。 先々週のことだそうだ。 南三陸町のボランティアに参加したという。 以下、原文そのまま。 金曜夜、ゆきの深夜バスでは、じっと黙って座っている 匿名の集団です。 「変」です。SAについても、黙ってますもん、眠いというか、 どう接していいかわからんという感じで。 夜なか中 緊張ししているかな。 ふと考えれば、都会では普通の、「通勤電車」と全く同じ。 変ではないのです、あまりに 同じで あきれて、わらってしまうほど。 それが、一日め、ほんのすこし作業一緒にして、 同じ光景を見て、宿で共にして。宴会場で、かるく自己紹介。 バス一台の大半は、初めてです、というみなでしたが、 特に男たちは、野球部の監督と体育教師を目指す高校生から、 普通の勤め人から、商社マン引退後の大先輩まで、ふたをあければいろいろ個性あった。 その回は、上海の留学生が居ました。 日本語も出来て話もしましたが、黙々と、立派でした。 ようやく話をしはじめて、相部屋で 安心して寝ます。 翌朝からの数時間は、少し話できて、作業して 一部とは名前を名乗りあい、ようやくです。 どこまで親しくなれるか・・・。 また、都会に戻り、匿名に戻る という感じです。 女性のみなさんは、「交流」してますね。 それでも、なんとなく 気恥ずかしく、 かといって、「この行動は正解か?」ということにも自信もなく。 いったこと、見てきたことを、ネタにすることは、 自慢や偽善になるようでと、わかっている。 というものでした。 参加者全員の緊張感は、真剣だからこそ。 その実行力を尊敬します。 この友人は、周りからずっと頼りにされてきた男ですから ボランティア参加は自然体でした。 (日本人であることを誇りに思う by 農園主 ) |
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休眠打破
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2012/03/05(Mon)
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週末に親苗が到着した。
ポレポレ農園で栽培する品種の親苗たちが、届いたもの。 品種によっては、特許があり、種苗法に基づいて、 許諾料を支払って苗を購入するのである。 この親苗を使って、育苗が始まっていく。 子苗、孫苗と連続して繁殖させていくため、 世代ごとに、太郎苗、次郎苗、三郎苗と呼ばれたりする。 もう少し細かく言うと、 親苗から、つる状のランナーが20センチ前後伸び始め、 これを栄養補給のパイプラインとして、次世代の芽(太郎苗)ができる、 その後、太郎苗からランナーが出て、次郎苗ができる。その後は三郎となる。 最終的に苗が自立(活着)するまで、ランナーで家族はつながっている仕組み。 親苗からは10本のランナーを目安に繁殖させ、30苗まで増やす。 順調なランナーの発生に欠かせない準備は? と言うと なんと、休眠だそうだ。 0℃から5℃の低温にさらす(遭遇)ことで休眠させる。 必要な休眠時間は700~800時間。 眠りが浅いとランナーの出現が低下する。 届いた親苗たちは、やってくる前に熟睡してきているのだ。 春になれば、覚醒することで(休眠打破) 新葉やランナーの展開が早まる。 起きたら、ハッスルというわけです。 (見習いたい by 農園主 ) |
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永遠の壱(イチ)
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2012/03/04(Sun)
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かつての会社の同期が、ひょっこり師匠の農園にやって来た。
ニューヨークで仕事をしているはずの彼が帰国したとは聞いて いなかったので、サプライズだった。 入社してすぐに、彼とは気が合った。 なぜかは判らないが、波長が合うとはこんなものかと思う。 彼は今や、米国企業と直接渡り合う国際的な金融マンとして 多忙を極めている。 東京出張の合間に近況を見に来てくれたのだ。 師匠にも会いたかったようで、うれしい限りである。 彼は、数年前にベンチャー企業投資と呼ばれる仕事を経験しており、 これから成長する企業を発掘し、経営指南をしながら育てるというもの。 だから、ポレポレ農園についても、質問は鋭い。 「販売チャネルはどうなっているの?」「天候へのリスクヘッジはどうするの?」 「何とかなるよ、地元の人はいい人達だし」との私の答えには 少し不満げだったが、農地を見た途端、いまだにサッカー少年の彼は 「サッカー場 二面はいけるな!」と変に納得する。 彼が、師匠家族の前で昔話を唾を飛ばしながら、力説する。 「入社後、すぐに同期150人で最初の試験があったのですよ。 僕がビリだったのですが、1点差でコイツがビリから2番目。 そしたらコイツが言うんですよ、 でも1点は1点、しかもこれは永遠に縮まらない1点だぞってね」 唾の出具合を見ると、 どうやら、彼の中ではまだ、1点は縮まっていないらしい。 (ポレポレ農園 恐るべし by 農園主 ) |
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有識者
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2012/03/03(Sat)
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ポレポレ農園の「営業時間は何時からですか?」
という問合せをいただいた。 ホームページを見て、来園したいということなので 大変うれしいことです。ありがとうございます。 ただ、農園は、今、整地の真っ最中。 来週にはその工事が終了する予定。 夏までにはビニールハウスを建て、12月の初収穫、開園を目指しています。 ホームページは、開園までの失敗や苦労話を紹介することで、 皆さんに共有して(笑って)いただき、親近感をもって 開園を迎えたいという願いで作っています。 しかし、もう開園している、という誤解を招いてしまったことは、 100%農園の落ち度と考えています。 日々開催されるポレポレ農園経営会議(夕食)で、このテーマが主要議題となる。 誤解を招かない施策として、これまで採択された事項としては、 字体をまずは、大きくしてみよう、 テレップ調のコメントは目立つかな、 というもの。 IT部門統括最高責任者(嫁)は、今回の事態を深刻に受け止め、 第三者の有識者による諮問を仰ぐことにした。 WEBのプログラム言語に精通する有識者(嫁の後輩)の進言は、 「お客様が必ず確認するところがポイントですかね~」 「アクセスマップの目的地を工夫したらいいかもー」 決定事項は 「アクセスマップのポレポレ農園の場所を ここ! と表示していたが、 建設予定地 との表示に改める 」 全会一致で採択された。 ( お客様視点!の第一歩 by 農園主 ) |
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朝練
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2012/03/02(Fri)
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朝5時すぎには、裏山からウグイスの声がする。
先週までは、ぎこちない鳴き方だったが、 上手くなってきた。 世間で、いい声だと言われるにはもう一息か。 妹の小さいころのピアノの練習を思い出す。 彼女の場合は、いつも同じところでつっかえていたが。 ウグイスの鳴き声には、意味があることを知った。 「ホー ホケキョ」は縄張りを示し、 その後に長く続く、「ケキョケキョ」は 威嚇をしている、という。 優雅な朝の声と思っていたのだが、 「起きろ、起きろ」と明日からは聞こえてきそうだ。 ( 同じところで間違えないだけ、よしとしよう by 農園主 ) |
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王道
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2012/03/02(Fri)
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雪が解けた。それでかどうかは判らないが、
師匠がビニールハウスを建て直し始めた。 この作業は、素人には結構キツイ。 パイプハウスの天井は最後につなぐことでアーチ状になるのだが、 その前にまずは、アーチの片方ずつを地中50センチほどの深さまで 差し込んでいく。45センチの間隔で。 これが簡単にはいかない。力いっぱい差す。でもいかない。 穴を開ける。梃子(てこ)を使う。なんとか押し込む。 「年中、ちょこちょこ 作ったり、こわしたりしてるわよ。」 と奥さんのトモ子さんは呆れ顔でよく言っている。 その度に師匠は、「ハウス建ては、趣味だよ」と言う。 以前には、東西に向いたハウスを何棟も、南北に建て直したと聞いた。 日当たりの違いによる、日照の影響は大きく、 「東西の向きの場合は、2番果房が1ヶ月は遅れるでしょ」と師匠は言う。 ちょこちょこ直しているのではない。 これこそ文字通り、「スクラップ アンド ビルド」(壊して再建する) 経営の王道だ。 経営書には、自己否定をしなければ、できないことなので、 厳しい決断であると書いてあるが、 師匠にかかると、それは「趣味」になる。 (しかし腰が痛い。。。 by 農園主 ) |
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