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作る人、食べる人
2023/06/24(Sat)
 イチゴの出荷高が全国1位の
栃木県では、今年の販売額が
過去最高を更新したそうだ。
牽引になったのは、
新品種の「とちあいか」の売上が
伸びた(2.6倍)ことにある。
確かにスーパーでもよく見かけた。
栃木県では生産の8割を占める
“とちおとめ”に代わる品種に
育てていく目論見だそうだ。

「“とちおとめ”よりも収量が3割増し」
「病気に強い」
「実が固いのでパック詰め、輸送に有利」
ということで期待の品種とされている。

 個人的には食する機会がなかったので、
味覚の違いは知らない。
しかし、農業界にありがちな
生産者の自己都合に陥ってないか
心配になってしまう。

 作る理由は、
「消費者が望むから」に他ならない。
それが、
収量が少なかろうと(おいCベリー)、
病気に弱かろうと(かなみひめ)、
実が軟らかろうと(紅ほっぺ)。
皆さんの喜ぶ顔を見たいがためである。
これは決して綺麗ごとではなく、
農家の生命線である。

(楽な仕事はないでしょ by 農園主)

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農を考える(10年で初のこと)
2022/01/13(Thu)
 農園の土手の間には水路があって、
これは周囲の田んぼの水や
雨水を流すための排水の役目がある。
当園のハウスの雨水も排水している。
400mほど先の川に
つながっているのだが、
両脇は土なので、定期的に
溝掃除をしなければ、
土がどんどん積もってしまう。
これも農地を使う上では、
当然に管理する仕事のひとつであり、
水路の両側にある農地の耕作者が
その責務を負うのが
基本的なマナーである。

【写真】溝に積もった土を掘り出してきれいになった排水路の様子

 しかし、400m先までこうして、
キレイに土をさらった状態になったのは、
この10年で初めてのことである。
当園の前だけを掃除しても、
流れる先が詰まっていては
どうにもならなかった。
近年の大雨の多発で排水の機能を
果たさなくなっていたので、
いよいよという段階で、
水利組合、市役所の協力で実現できた姿。
とても安堵している。
でも、これを維持していくことが
もっと大事で大変な課題。
その責任は、一義的には
耕作者にあるのは、言うまでもない。
ただ、借り手優位の農地貸借の現状では、
責務をないがしろにする
借主は少なくない。
そういう意味で、貸した地主だけでなく、
中間管理機構(千葉県)や
斡旋した君津市の監視と協力がなければ、
農地は荒廃していくばかり。
自治体としてもそろそろ強い
意志表示を示すべき時期に来ている。

(こうした水路を守るために by 農園主)


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農を考える(税金の使い方)
2021/10/20(Wed)
 会計検査院が、農地の集積事業に
対する税金の使い方に
改善すべき点があると指摘している。
休耕農地を中間管理機構
(主体は県庁)が集約して
担い手にまとめて貸し出すと
いう仕組みに対するものである。
区画面積を拡大して貸し出すために
畔(あぜ)や暗渠(あんきょ)の
整備に補助金が出ているわけだが、
実際の集積実績が、計画比で
4割は未達になっているとの
指摘である。

 税金を無駄にしないための
チェック機能はとても有効なものである。
ただ、この問題の本質は、
中間管理機構は、貸し手と借り手を
同時にマッチングさせるという
前提であるのに対し、
「“信頼できる”借り手がいない」という
現実がある。
途中で耕作を投げ出す担い手も
少なくなく、ヘタに貸し出すと
かえって農地が荒れてしまう事象を
残念ながらよく見かける。

 そういう意味では、
検査院からの未達への圧力は、
自治体には「誰でもいいから貸せ」
という声に聞こえてしまうのではないか、
と心配する。
君津市内においても、
この10年で耕作放棄地だけでなく、
草ボウボウの放棄地予備軍が
とても増えてきた。
農地政策と都市計画のすり合わせは、
待ったなしかと思う。

(主力の高齢化は進む by 農園主)


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ケチな話
2021/07/05(Mon)
 知的所有権の保護が大事なことは、
周知のことだが、
それは音楽や映画に限ったことではなく、
イチゴの苗についても同じである。

 種苗法が改正され、
海外への日本独自品種の苗の流出を
阻止することが目的とされている。
しかし、それは国内での運用も同じ。
苗を販売する免許や栽培する許諾料を
負担することが求められる。
品種を開発した立場からすれば、
当然の権利なのだと思う。
それだけの研究努力と
独創的な発想があったのだから、
我々生産者は、
リスペクトしなくてはいけない。
バレなければいい、
もし、そういう風潮があるとすれば、
どこかのお国柄と同レベルと
恥じなければいけない。

(正々堂々と by 農園主)

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農を考える(キジの住処編)
2021/06/26(Sat)
 お隣の畑の工事が終了したようだ。
県費を投入しての土壌改良の大工事。
耕作放棄地から生まれ変われるか否か。
その意義というか費用対効果の真価が
これから問われる。

【写真】整地されたお隣の農地を歩くキジのケンケン

 荒廃した農地は、キジの住処にとっては
好都合だったのだが、キレイに整地されて
途方に暮れる姿が切ない。
しかし、彼らは逞しいので心配ご無用。
次の住処(耕作放棄地)を
あっと言う間に見つけられるはずだから。

(農地の皮肉な現状である。by 農園主)

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