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自家苗への挑戦 (かなみひめの危機から)
2018/08/30(Thu)
~その5 アミ室の視察

 植物ウィルス病を排除するためには、
それを媒介する害虫を完全に
シャットアウトすることが必要になる。
いや、それがすべてである。
千葉市にある農林総合研究センターに伺って
実際のアミ室を見学させていただいた。

 鉄骨のビニー ルハウスに
細かい網目(0.4ミリ)のネットが
張りめぐらされており、地面はコンクリで
雑草が生えないようにしてある。
ドアは2重で、前室と呼ばれるスペースが
設置され、入室する場合は、
虫の侵入を防ぐために、
服や道具の取り扱いにも細心の注意を払う。
(虫には、アブラムシ以外に、
コナジラミ、アザミウマを含むが、
ハダニは媒介例がないそうだ。)
予想通り、厳しい基準が要求されていた。

 これを費用対効果の観点から
考えていかないとならないが、
同時に興味深い話を
研究者の方から聞けた。

「15年間イチゴの仕事をしていますが、実は、
イチゴのウィルス病を見たことはないのです。
他の野菜では、よくあるのですが。」
―えっ、なぜでしょうか?

「イチゴの場合、3種類のウィルスが判って
いますが、そのうち2種類に感染しないと
発病しないからかと考えられます。」
―そうなんですね。

(学士論文が書けそうだ by 農園主)

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自家苗への挑戦 (かなみひめの危機から)
2018/08/23(Thu)
~ その4 白い騎士はいるのか?

 ウィルス・フリーの親苗を販売していた
種苗会社が、“かなみひめ”の取り扱いを
止めると一方的に通告してきた。
ことはそこから始まっている。

 フリー苗とは、植物ウィルス病に
かかっていないという意味であり、
生長点の培養によって育てた
苗(メリクロン苗)のことである。
イチゴ農家が恐れる菌の繁殖による
病気(タンソ病)とは別種の話である。
植物のウィルス病は、
イチゴに限ったものではなく、
どの作目にもある病気で、
アブラムシなどの虫を媒介する。
効果のある薬は今のところ存在しない。
少し専門的な話になるが、
生長点培養の苗が、ウィルス・フリーに
なる理由は、ウィルスに浸食された細胞の
増殖ペースよりも、新しい細胞の
誕生ペースの方が速いからだそうだ。
その意味で、生長点培養が有効とされる。

 それ以外にイチゴを守る手段が
もうひとつある。
虫がつかないように苗を守り続けることだ。
特別仕様の部屋(アミ室と呼ばれる)で
保存し続けるのである。
そうすれば、親苗の原種となる株を無病で
保持することができる。
相当厳重な管理が必要になるものと予想
されるが、調べてみる必要がありそうだ。
話はどんどん大きくなってきているような、
そんな気がしている。

(つづく by 農園主)

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自家苗への挑戦 (かなみひめの危機から)
2018/08/16(Thu)
~その3 学術的に次のピンチ

 親苗を自家栽培している熟練の農家で、
タンソ病の問題なく、育ててている方が
おられることは事実である。
それは偶然なのか、技術力なのか。
「自分で作る苗が、一番信用できる」
そう断言する生産者もおられる。

【写真】千葉県暖地園芸研究所の施設風景

 千葉県館山市にある
「暖地園芸研究所」を訪ねた。
県の機関で、イチゴの病気について
大変詳しい方がおられる。
数年前に県内でタンソ病が蔓延した時に
勉強会の講師をしていただいた経緯があり、
とても信頼している方だ。

“かなみひめ”の今般のあらましを説明し、
自家苗の栽培をする上で、
注意すべき問題点を相談した。

「ポレポレ農園さんの育苗ハウスは、
風通しや架台設備などの環境面は、
問題ないと思います。」

「また、定植後の健全な株のランナーから、
挿し苗をしていくのであれば、
(菌は体内から伝染することはないので)
タンソ病の問題はクリアできると思います。」

― 本当ですか。それは嬉しい話です。

「しかし、ですね。。。」

― しかし、ですか?

「はい、今後、毎年親苗をご自分で
栽培していくとなると、
ウィルス(植物性)による
病気のリスクが出てきます。
国内では、ウィルスによる発病の事例は
ほとんど聞かれなくなっているのですが、
アブラムシなどを媒介して
植物性のウィルスに感染すると、
枯れるまでにいたらなくても
年々、株に生気がなくなっていきますので、
注意が必要です。」

― そうでしたか。。。それは盲点でした。

 ちなみに菌とウィルスは異なるそうだ。
前者は細胞を持つ生き物だが、
後者は寄生しないと繁殖できない。
形がないだけに退治が難しいとも言える。

( つづく by 農園主 )

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自家苗への挑戦 (かなみひめの危機から)
2018/07/30(Mon)
~ その2 栽培技術について

 “かなみひめ” が2年後には
作れなくなるかも知れないことがわかり、
ジャットの大谷さんに相談をした。
肥料メーカーの人である。
不器用なくらいに真面目なので、
信頼している。
「親苗の自家苗ですか。。。
茨城にいい苗を作る方がおられます。」

 早速、訪問させていただいた。
茨城県潮来市、ご夫婦2人で営農されている。
出荷を専門とし、名人と誉れ高い。
栽培品種は主に“紅ほっぺ”。
かなみひめは作られたことはないが、
紅ほっぺの親苗は100%自家苗で、
タンソ病を出した記憶はないとのこと。

 単刀直入にお聞きした。
― 自家苗を作る上で、病気を出さないために
注意すべきことは何ですか?

「人任せにすることがいけない。
自分で株を選抜していけば、
きっと3年後にはいい苗ができる。」

 細かい技術指導もいただいた。
定植後に出現するランナーを使って、
挿し苗をし、越冬させて親苗に育てていく。

 どこまでやれるか、不安はとても大きいが、
それでも、挑戦してみたいと
今はそう考えている。

 柔道家の古賀稔彦氏が言っていた。
「何ごともうまくいかないことが普通で、
挑戦とは、新しい自分に出会うことである。」

(さぁ、次へ by 農園主)


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自家苗への挑戦 (かなみひめの危機から)
2018/07/23(Mon)
 “かなみひめ”の生みの親は、
静岡県の個人の方である。
数年前に当園に来られたこともあり、
いろいろと教えていただいた経緯がある。
意欲は衰えない方であるが、さすがに
ご高齢になられており、今後のことに
ついての相談は、一番弟子である方と
ということで、ご紹介していただいた。

 静岡県掛川市で大規模に農園を運営されて
おられる大ベテランの方だ。 早速、訪問。
「“かなみひめ”はね、本音を言うと、
作るのをやめたいね。だって、大変だもの」
― 難しいってことですか
「そうだね。でも、ファンが許して
くれないから、やめられないね」
― ですよね。

 様々な“かなみひめ”の栽培あるあるで
大先輩と意気投合させていただいた。
この方は、これまでずっと親苗を
ご自分で育ててこられている。
病気にならないための施策はというと、
キリがないのだが、
「大丈夫、できますよ」
そうおっしゃっていただいた。

 兎にも角にも、
種を守ろうという方が自分以外にも
いることがわかったことは、
大きな収穫であり、大変勇気が湧いた。
次は、自家苗を育てる上での栽培技術を
もう少し調査してみようと考えている。

(本当にできるのかどうか。。。 by 農園主)

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